画面共有で対応スピードが劇的に向上!阪急阪神百貨店の OMO を実現するためのカスタマーサポートとは
「お客様の暮らしを楽しく、心を豊かに、未来を元気にする楽しさ No.1 百貨店」をビジョンに掲げる株式会社阪急阪神百貨店。
同社は長年にわたり、お中元・お歳暮といったギフト販売を担い、多くの世代から利用されてきた。EC サイトの利用が拡大する中で「操作がわかりにくい」「使いにくい」といった声が寄せられるようになり、とりわけ会員登録や配送先設定、のしの指定など複数の操作を要する場面で混乱が生じやすかった。こうした課題に対応するため、同社は2024年10月にチュートリアルソリューション Withdesk Automate を導入している。
今回は、導入の背景やプロセス、導入後の効果について、ギフト運営推進部ギフト EC 企画担当マネージャー の M.I. 氏、同部の S.T. 氏にお話を伺った。
阪急阪神百貨店は「楽しさ No.1 百貨店」をビジョンに掲げ、「お客さまの喜びは私たちの喜び」という価値観を大切にしている。その理念を体現する場として、ギフト運営推進部はお中元・お歳暮を中心としたギフト EC サイトを運営し、購入時に満足いただける体験の実現を使命に掲げる。単にスムーズに購入できることだけでなく、百貨店ならではの品揃えや贈答体験を通じて、ここで買ってよかったと感じてもらえることを重視している。
「もちろんご自身で EC サイトにてスムーズに購入いただけることも目指していますが、それ以上に、百貨店としてお品物やお届けの体験を通じて『阪急阪神百貨店で購入して良かった』という満足感を得ていただけることを大切にしています」(M.I. 氏)
お中元やお歳暮の注文では、商品とお届け先の紐づけや、一つのお届け先に複数商品を送る設定など、複雑な操作が避けられない。特に年配のお客さまを中心に「次に何をすればよいのかわからない」という声が多く、注文途中で迷ってしまうケースも少なくなかった。
2020年のコロナ禍を契機に EC サイトの利用が急増したことで、こうした課題はいっそう顕在化した。電話での案内だけでは限界があり、画面共有ソリューション Withdesk Browse を導入し、お客さまがどこでつまずいているのかを把握できるようになった。しかし、電話は営業時間内にしか対応できない点は解決できなかった。
「もちろん画面共有をして口頭で説明すれば解決できるのですが、どうしても営業時間内にしか対応できないという制約があります。そういう方に自己解決していただける仕組みがあれば、お客さまにとっても電話をする手間が省け、好きな時間にお買い物ができるはずだと考えました」(M.I. 氏)
一方で、「使いにくい」という漠然とした声が寄せられる中で、ギフト運営推進部では具体的に何が使いにくいのかを検討。ページ上で複数の操作を求められる構造そのものが負担になっていることに気づいた。
「お客さまは『使いにくいね』とおっしゃるだけで、具体的に何がわからないかまでは伝えていただけません。そこでお客さまの視点にたって検討した結果、一つのページ上で多くの操作をお願いしていることが原因ではないかと考えました。だからこそ、『まずはこれ、次はこれ』と段階的に案内できれば、解決につながるのではないかと思いました」(M.I. 氏)
複雑な注文フローに迷うお客さまが多いという課題を受け、自己解決を促す仕組みの検討が進められた。その中で、ウィズデスク社との打ち合わせで紹介されたのが、チュートリアルソリューション Withdesk Automate だった。
「もともと2023年頃から自己解決を促す仕組みを検討していました。しかし見つかるのは FAQ や、チャットボットのような仕組みばかりで、画面上に段階的に操作ガイドを出せるものは見つかりませんでした。この画面のこの部分を見てください、と操作の手順を示せる仕組みを探していたところ、Withdesk Automate を紹介していただいて、まさにこれだと思いました」(M.I. 氏)
元々話を聞いていたツールは、FAQ やチャットボット、操作マニュアルの作成など、根本的な解決に至るようなサービスではなかった。Withdesk Automate は画面上で「ここを操作してください」と直接案内でき、しかも吹き出しの文言を自社側で適宜編集できる点が大きな決め手となった。
「案内する文言や区切り方など細かい部分も社内で調整できるのが良かったです」(S.T. 氏)
「これまで見送ってきた原因を解決できる仕組みだったので、導入の決断は早かったですね」(M.I. 氏)
こうして、長らく探し求めていた画面上での的確なナビゲーションを実現する仕組みとして、Withdesk Automate の導入が決定された。
導入にあたっては、まずウィズデスク社と作成するチュートリアルの大枠についてディスカッションしながら方向性を決め、その上でギフト運営推進部内で細部をチューニングしていった。文言の調整や「ここにもチュートリアルを出した方がいいのでは」といった追加の検討を重ねながら、内容を磨き上げていった。
「文言を丁寧に直したり、実際のお客さまの操作を想定して追加修正を繰り返しました」(S.T. 氏)
特に色々なパターンを想定して検討を進めていったのが、購入フローのチュートリアルだった。お中元やお歳暮の注文では、商品とお届け先の紐づけや、のし、配送時期の指定など複数の分岐が絡む。お届け先が複数になると、その都度、設定しなければならず、操作に迷うお客さまが多かった。
「一つのお届け先に配送する商品数も1点だけではなく、数点・数十点まで幅広く、そこに包装可否やお届け時期などの商品ごとの制約が加わります。チュートリアルを作成する際は、EC サイトの購入フローをイメージしながら、都度ウィズデスク社へ相談し、無事チュートリアルを作成することができました」(S.T. 氏)
また、わかりやすいチュートリアルを作成するため、吹き出しの文言をより丁寧に表現したり、よくある問い合わせをヒアリングして注釈を加えたりといった改善を実施。特に、のしの選択は難易度が高いため、画像でイメージを表示する工夫も取り入れた。
「お客さまが自己解決できるようになれば、購入までに余計な時間を取らせずに済みます。だからこそ、文言の細かい表現や注釈にはこだわりました。のしについても、画像を添えて直感的に選べるようにしました。結果として、私たちの業務効率にもつながりました」(S.T. 氏)
このように、複雑な購入フローを自己解決に導くチュートリアルは、現場の細やかな工夫と気配り、そしてウィズデスク社の伴走支援によって実現された。
導入後、現場では確かな変化を実感しており、操作面の問い合わせは減少傾向にあるとのことだ。
「導入の目的はお客さまに自己解決してもらい、問い合わせをしなくても済むようにすることです。まだ検証途上ですが、注文完了までのつまずきに関する問い合わせが減っていると体感しています。結果として、お客さまが迷わず完結できるようになってきています。
お客さまにご自身で解決していただければ、現場の業務は効率化できます。その分、画面共有を通じた丁寧なサポートに時間を割けるようになります。Withdesk Automate はその橋渡しを担い、『ちょっと分からない』という場面をその場で解決できる仕組みです」(S.T. 氏)
部署内や周囲からも「一つ一つ操作ガイドが表示されるのは良い」という声があり、自己解決の仕組みが浸透したことで、現場の負担軽減だけでなく、お客さまにとってもスムーズな購入体験につながっている。
「Web 操作に慣れている方の中には『一つ一つ表示が出るのは目障り』と思う方もいらっしゃるかもしれません。ただ、その場合でもすぐに閉じられるようになっているので、どなたにとっても使いやすい仕組みになっていると思います」(S.T. 氏)
また、店舗では「どののしを選べばよいか」といった相談を受けることが多く、ギフト販売において重要な接客ポイントとなっていた。その体験を EC サイトでも再現できたことは大きな成果だ。EC サイトのページ内でイメージを提示できる点は社内からも高く評価されており、別ページに載せるだけではなく、のしの選択画面ですぐに見られることが、お客さまの迷いを解消している。
「のしのイメージを購入画面の中で確認できるのは非常にわかりやすい、という声を多くいただいています。EC サイト上であっても適切なのしを選択できることになり、百貨店で購入する体験として期待に沿える部分だと思っています」(S.T. 氏)
ギフト販売は、お届け先に確実に、そして心を込めて贈り物を届けることが何よりも大切になる。そのサポートを担う仕組みとして Withdesk Automate は有効に機能している。
「大切な贈り物をお届けする場面では、誤りのない手続きを実現することが重要です。そのための手助けができるのが Withdesk Automate だと思います。特にギフトを扱う EC サイトを運営されている企業は、検討に値するのではないでしょうか」(M.I. 氏)
自己解決を支援するチュートリアルソリューションは、現場の負担を軽減するだけでなく、お客さまが安心して購入体験を完結できる環境を整える。阪急阪神百貨店の取り組みは、ギフト販売に求められる信頼を EC サイトでも変わらず提供するための一歩となっている。
※掲載内容は取材当時のものです。
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