複雑な購入フローも自己解決へ!阪急阪神百貨店の EC サイトでのチュートリアル活用とは
「お客様の暮らしを楽しく、心を豊かに、未来を元気にする楽しさ No.1 百貨店」をビジョンに掲げる株式会社阪急阪神百貨店。
同社は、長年にわたりお中元・お歳暮を中心としたギフト販売を担い、幅広い世代のお客さまに親しまれてきた。2020年のコロナ禍以降は、従来店頭で注文していたお客さまも EC サイトを利用するようになり、注文数は倍増。しかしその一方で、会員登録や配送先の設定、のしの指定といった操作に不慣れなお客さまからの問い合わせも増え、電話によるサポートだけでは対応に限界が生じていた。こうした課題を解決するため、同社は2020年10月よりコブラウズソリューション Withdesk Browse(ウィズデスクブラウズ)を導入している。
今回は、導入の背景やプロセス、導入後の効果について、ギフト運営推進部ギフト EC 企画担当マネージャーの M.I. 氏、同部の S.T. 氏にお話を伺った。
阪急阪神百貨店は、リアル店舗の強みを OMO (オフラインを融合したオンライン)で拡張する営業スタイルの確立を掲げ、店舗とオンラインを横断したサービス開発を加速している。例えば、顧客 ID「H2O ID」を起点にしたデータ活用を進め、顧客ごとの購買行動に合わせたパーソナライズに取り組んでいる。
その中でも、お中元・お歳暮を中心とするギフト EC の運営を担うギフト運営推進部は、「百貨店ならではの体験価値を、オンラインでも提供すること」をミッションに掲げている。
「もちろんご自身で EC サイトにてスムーズに購入いただけることも目指していますが、それ以上に、百貨店としてお品物やお届けの体験を通じて『阪急阪神百貨店で購入して良かった』という満足感を得ていただけることを大切にしています」(M.I. 氏)
ギフト運営推進部では、多様なお客さまから寄せられる問い合わせに真摯に向き合い、その声を購買体験の改善へとつなげてきた。電話やメールでの応対を通じ、安心してお買い物いただけるよう努めてきたが、EC サイトの利用が増加するなかで、新たな課題が浮かび上がってきた。
「問い合わせが来るということは、つまり分からないということです。ご注文後の変更やキャンセルを除けば、ご注文前の問い合わせは減らしたいと思っていました」(M.I. 氏)
特に目立ったのは、ギフトならではの複雑な操作でのつまずきである。
「ギフトの場合は、一つのお届け先に複数の商品をまとめる・のしを個別に設定するなど、自宅用の購入と違い、操作が複雑です。さらにお中元・お歳暮の場合、半年に一度のご利用なので、手順を忘れてしまうお客さまも少なくありませんでした」(M.I. 氏)
問い合わせはメールよりも電話が中心で、特に繁忙期にはオペレーター数が追いつかず、電話がつながらないといった事態も発生していた。
「お客さまがどこで迷っているのかが分からないと、ご案内に時間がかかってしまいます。その結果、一人あたりの対応時間が長くなり、処理できる件数に限りが出てしまう。結果として、解決につながらないお客さまが増えてしまうこともありました」(M.I. 氏)
お客さまのつまずきが見えない電話だけでの対応では解決につながらない場面が増えており、よりスムーズでわかりやすい案内を実現するために、新たな手段の必要性が高まっていたのである。
お客さまからの問い合わせに対応する中で、最大の課題となっていたのは、どこでつまずいているのかが分からず、解決までに時間がかかってしまうことだった。
「電話では『今どのページを見ていますか?上から文字を読んでください』とお願いするしかなく、お客さまの状況を把握するのに大きな手間がかかっていました。その結果、一人あたりの対応時間が延び、解決に至らないまま終わってしまうこともありました。画面共有さえできれば、この課題は大きく改善できるだろうと考えていました」(M.I. 氏)
こうした背景から、コロナ禍でオンライン注文が急増していた2020年頃、Withdesk Browse が具体的な解決策として検討されることになった。
「導入にあたって重視したのは、お客さまにとって簡単でわかりやすい仕組みであることでした。以前に検討した画面共有ツールは、画面共有を開始する際、お客さまにアプリをインストールしていただく必要があり、自社側でもメンテナンスコストが発生するなど負担が大きく、実運用には適しませんでした。
その点、Withdesk Browse は、Web サイトにサービスタグを設定するだけで導入でき、お客さまは、オペレーターからは発番されたセッションコードを入力するだけで利用できます。非常に操作が簡単で、これが導入の最大の決め手になりました」(M.I. 氏)
現場主体で課題を捉え、解決策を即座に形にできたことが、Withdesk Browse のスピーディーな導入につながった。
Withdesk Browse は、導入にあたって大きな準備を必要とせず、短期間で運用を始めることができた。
「オペレーターの人数を増減する必要はなく、サポート体制も大きく変えていません。
最初にウィズデスク社と打ち合わせを行いましたが、操作が直感的だったので特別な研修も不要でした。社内で1〜2回ロールプレイングをすれば全員がすぐに習得できました」(M.I. 氏)
運用が始まってからは、現場の裁量で柔軟に対応方法を工夫している。
「最初は口頭で案内し、口頭だけの案内で難しそうであれば、画面共有サポートを行うようにしています」(M.I. 氏)
安心して利用していただくための配慮も欠かさない。
「個人情報やパスワードはマスキングされる仕組みになっていることを必ずお伝えしています。さらに、こちらでマウスを動かして『ここをクリックしてください』と指し示すことで、不安なく操作いただけるよう工夫しています」(S.T. 氏)
運用しながら、適宜現場での工夫を採用していくことで、自然に日々のオペレーションに溶け込んでいった。
Withdesk Browse の導入により、お客さまがどこでつまずいているのかをすぐに把握できるようになり、解決までの時間が大幅に短縮された。
「お客さまがどの画面で迷っているのかがすぐにわかるので、会話だけでは把握しづらかった状況が格段に改善しました。結果としてやり取りの回数が減り、よりスムーズに解決できるようになっています」(M.I. 氏)
特にギフト注文特有の操作では、大きな効果があった。
「これまでは電話で『注文完了ボタンを押してください』と伝えても、最後の確認画面に遷移をした段階で注文が完了したと勘違いされるお客さまもいらっしゃいました。その結果、後日に商品が届いていないという問い合わせが寄せられ、お客さまにご満足いただけないこともありました。
Withdesk Browse で画面共有ができることによって注文完了画面までオペレーターと一緒に確認できるようになり、実は注文が完了できていなかったという問い合わせは大幅に減少しました。安心して最後まで手続きを終えられる体験を提供できるようになっています」(M.I. 氏)
オペレーターから「画面共有があることで案内のしやすさが全く違います」との声もあり、対応の質は向上。さらに、業務効率化の面でも成果が出ている。
「繁忙期には電話が終わってからメール返信など他の業務を行うため、時間外業務が発生することも珍しくありませんでした。Withdesk Browse を導入してからはお客さま対応がスムーズになり、時間外業務はほとんど発生しなくなりました。繁忙期には、1人あたり1日3時間程度の時間外業務が削減できています」(M.I. 氏)
その効果は社内にも広がり、評判を受けて HANKYU HANSHIN E-STORES など他の EC 部門にも活用が横展開されている。
「Web サイトにサービスタグを設置するだけで導入できる仕組みであり、複雑な準備やアプリのインストールが不要でした。その手軽さと効果が社内に伝わり、利用が広がったのだと思います。
特に PC 操作に不安を感じているお客さまには大きな効果がありました。お客さまの画面を直接見ながら案内できるうえに、お客さま側でアプリなどをインストールする必要がない点は大きな魅力です。導入も気軽に始められるので、同じようなお悩みを抱えている企業には役立つと思います」(M.I. 氏)
Withdesk Browse の活用は、単なる業務効率化にとどまらず、お客さま一人ひとりに安心感を届けるためのサポート基盤として、今後も進化を続けていくだろう。
※掲載内容は取材当時のものです。
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