顧客対応時間を半分以下に短縮し、お客さまサービスの質を向上! メディケア生命保険が取り組んだ DX 推進プロジェクトとは
SMBC グループの総合決済カンパニーとして、「カード」「信販」「トランザクション」の3つのビジネスを柱にしている SMBC ファイナンスサービス株式会社(以下、SMBC ファイナンスサービス)。
カード事業において、カード会員サービスや明細書のウェブ切り替えを推進する同社では、カード会員さまをサポートするため、2021年10月よりコブラウズソリューション「Withdesk Browse(ウィズデスク ブラウズ)」を導入している。
Withdesk Browse を導入した背景にあった課題や導入プロセス、そして導入後の効果について、IT 戦略部グループ長 T. H. 氏、K. M. 氏にお話を伺った。
「カード会員さま向けサービスのデジタル化」を目標に掲げている IT 戦略部では、これまで紙で発行されてきたカード利用明細をウェブ上で見ていただく明細へ切り替え、会員サービスを「セディナアプリ」上で提供するといった施策を手掛けている。紙の使用量削減によって自然環境を保護するだけでなく、即時性のあるウェブサービスでお客さまとのコミュニケーションを円滑にしたいという狙いがあった。しかし、他社のカード事業と比べてデジタル化はなかなか進んでいなかったと担当者は話す。
「グループ会社である三井住友カードと比較しても、デジタル化の指標としているウェブ上で明細を見ているカード会員さまの人数やアプリの登録率で差が出ているのです。
この要因の一つとして、ご年配のカード会員さまが比較的多いことが挙げられます。
そのため、弊社におけるデジタル化は、ご年配のお客さまもしっかりサポートしながら進めていく側面が必要でした」(T. H. 氏)
2021年3月までは無料で発行できた紙の明細書を、他のカード会社同様に有料サービスへと切り替え、ウェブ上で明細を見ていただくことを推奨している。
ウェブ上で明細を見ていただくためには、会員専用サービス「セディナビ」の登録が必要であり、お客さまから登録方法や利用方法の問い合わせが増加することが見込まれた。そこでお客さま対応を担っている部署に、お客さまのデジタル化を電話サポートするチームとして、ウェブサポートデスクが設置された。
お客さまサービスのデジタル化を進める中で、会員専用サービスへの登録方法や操作についての問い合わせが増加した。電話でのお客さまサポートにはどのような課題があったのだろうか。
「ウェブサポートデスクの対応で課題だと感じていたことは、お客さまの画面が見えないことでオペレーターが伝えたいことをうまく伝えられず、対応時間が長引いてしまうこと、それによってお客さまにご不快な印象を与えてしまうことでした」(T. H. 氏)
今回の取り組みで最も懸念されていた要素が、ご年配のお客さまへのご案内だ。以前にオペレーター経験がある K. M. 氏から、お客さまサポートの難しさについて伺った。
「オペレーター側とお客さま側で認識がズレていると、電話でサポートしてもなかなか解決までたどり着きません。例えば、視力が低下している方は色や形の認識があいまいになり、意思疎通がとても難しくなります。
また、お客さまによってはスマートフォンの操作で『タップ』や『スワイプ』と言われても、それがどのような操作なのか伝わらないことも。
電話の音声だけでお互いの意思疎通を図ることは、非常に難易度の高いことなのです」(K. M. 氏)
電話のみの対応ではなく、お客さまと操作画面を共有してご案内できないかと考えている際に出会ったツールが、Withdesk Browse だった。きっかけは SMBC グループ内の交流会で、同じくカード事業を手掛ける他社の取り組みの話を耳にしたことだという。その時の第一印象について T. H. 氏に伺った。
「初めてサービス内容を伺ったとき、画期的なサービスだなと感じました。グループ企業の担当者からも、現場のコールセンターからも、ネガティブな声は一切なく良い評判しか聞かなかったのです。
Withdesk Browse の導入にあたって、最も魅力に感じた機能は、お客さまにアプリ等をダウンロードさせることなく、スマートフォンから簡単に画面共有ができることでした。
実はカード会員さまからのお問い合わせは、9割以上がスマートフォン経由なのです。そのため、お客さまはスピーカー通話をしながら、ウェブサービスの登録・操作をする必要がありました。
システム導入の流れを聞いてもそれほどハードルが高くないように感じましたので、導入に踏み切りました」(T. H. 氏)
IT 戦略部で導入を決定したものの、関係各部との調整には苦労もあったとのこと。調整の際は、担当者が導入対象のシステムの仕組みを理解しなければならなかったという。
「社内の調整を進めていく際に必要だった知識について、導入まで丁寧に教えていただきとても助かりました。」(T. H. 氏)
2021年9月に社内調整と Withdesk Browse の契約が完了し、10月下旬にはお客さまへ画面共有サポートのご案内が始まった。
2ヶ月弱の導入期間には、HTML タグの埋め込みだけでなく、画面共有サポートの専任として新しく採用された4名のオペレーターへの教育や専用端末の導入が、K. M. 氏主導で進められた。
「PC に Withdesk Browse を導入すること自体は、ほんの数分で完了しました。その後、オペレーターに Withdesk Browse の使い方をレクチャーし、2週間かけてロープレを実施しています。
本番までは期間に余裕があったため、想定されうる限りの質問に対する対応方法を決めていき、マニュアルも細かく作成しました。オペレーターからは『本当にこれだけで画面が繋がるんですか』という驚きの反応が返ってきたことが印象に残っています」(K. M. 氏)
今回、ご年配のお客さまからの問い合わせが中心になると想定し、Withdesk Browse のご案内には2つの工夫が用意された。
1つ目が、スマートフォンからのお問い合わせに対して、端末ごとにスピーカー通話へ切り替える方法をマニュアルに記載したことだ。OS や端末によってスピーカー通話への切り替え方法が若干異なるため、電話口で必ず確認しているという。
しかし、機種名まで把握されていない方も多いため、スマートフォンの形状をお聞きすることで端末を特定できるように工夫している。
2つ目が、実際に画面が繋がっているかお客さまに確認いただくため、オペレーターがポインターをぐるぐる動かしながら「動いている丸が見えますか」と聞くことだ。言葉で説明しても、なかなか画面が共有された実感を持たれなかったため、視覚的に理解いただくために確認しているという。
Withdesk Browse の導入からおよそ5ヶ月。カード会員さま向けサービスのデジタル化に伴い、お客さまを取り残さないようにサポートすることをミッションに掲げた今回の取り組みでは、どのような成果が得られたのか。T. H. 氏が取り組み全体を振り返った。
「ご年配の方を中心に1日あたりで平均10〜20件に Withdesk Browse を活用しています。
一概に比較できませんが、Withdesk Browse を活用した応対時間は70〜90歳の方への同様の応対と比べ、半減している印象です。Withdesk Browse を導入したことで、お問い合わせの9割以上は無事に解決していることも評価できるポイントです。
なお、解決できなかったケースのほとんどが、ご自身のメールアドレスを忘れてしまっているといった弊社ではサポートが難しいことが原因でした」(T. H. 氏)
実際に Withdesk Browse でご案内しているオペレーターには、お客さまからの感謝の声や感想が寄せられている。その中からいくつかご紹介いただいた。
「画面共有のサポートをご案内すると、ほとんどのお客さまから前向きな反応をいただきます。『画面共有は怖い』というお声は、これまで聞いたことがないです。また最近では『自分で2時間かけても分からなかったのに、たった30分で解決して驚いた』というお声がお客さまから寄せられたとも聞いています」(K. M. 氏)
カード会員さまがウェブ上で明細を見ていただくことへの取り組みやカード会員さま向けアプリのリリースなど、サービスのデジタル化を推進する同社では、今後どのような展望を描いているのだろうか。デジタル化のポイントは、ご年配の方をはじめ、デジタルに慣れていない方をいかにフォローしていくかにあると、T. H. 氏は話す。
「いまやデジタル化は避けては通れず、私たちのサービスでもデジタル化を今後も進めていきます。その際、デジタル慣れしていないお客さまを取り残さないための『仕掛け』が必要です。その『仕掛け』の1つとして、Withdesk Browse によるご案内を別のお客さまサポートにも広げていきたいですね」(T. H. 氏)
取材の最後に、今回の取り組みを振り返ってのご感想と Withdesk Browse はどのような役割を果たしたのか、K. M. 氏にご感想を伺った。
「今回の取り組みのなかで、Withdesk Browse はお客さまとの距離を一足飛びに縮めた存在だったと感じています。これまでお客さまとのコミュニケーション手段は電話しかなく、細かい部分までの意思疎通に課題がありました。
電話による音声コミュニケーションに加え、Withdesk Browse で視覚的にお客さまとオペレーターが繋がることで、今まで以上に寄り添ってサポートできています。
ウェブの明細やアプリのサービスとあわせて Withdesk Browse を活用し、お客さまに親近感を覚えていただけるようなサービス展開をしていきたいですね」(K. M. 氏)
※掲載内容は取材当時のものです。
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