お客さまサービスの向上に向けたソリューションの導入で、対応時間を半分以下に短縮!メディケア生命保険が取り組んだ DX 推進プロジェクトとは
金融業界を取り巻く環境が変化する中、積極的なデジタル戦略を打ち出している株式会社常陽銀行。同行が注力する個人向けローンでは、オンライン上でローンの正式申し込みまでを完結できる商品を提供しているものの、「インターネット申し込み」での手続き完了率に常に悩みを抱えているという。
そこで支店窓口のような顧客体験をオンラインで実現するため、Withdesk Automate によるチュートリアルを導入し、その結果としてローン審査の手続き完了率の向上を実現している。Withdesk Automate を導入した背景にあった課題や導入までのプロセス、そして導入後の効果について、同行のインターネットプロモーションを主に担当しているダイレクト営業部企画グループの T. I. 氏にお話を伺った。
長期的な低金利施策やライフスタイルの変化、そして新型コロナウイルスの感染拡大など、金融業界を取り巻く環境が変化する中、支店を中心とした従来の対面取引によって収益を上げてきた金融機関は難しい局面に立たされている。他業界と同様に金融業界にもデジタル化による既存のビジネスモデルの変革が求められる中、積極的なデジタル戦略を打ち出しているのが、茨城県水戸市に本店を置く常陽銀行だ。
2016年に立ち上げられた同行のインターネット支店では、ウェブ上で手続きを完結できる仕組みによって茨城県外の顧客からもローンを契約いただき、2023年6月末には貸出残高が100億円を超えているという。同行のインターネットプロモーションを主に担当しているダイレクト営業部企画グループの T. I. 氏に、同行が注力している個人向けローンのデジタル活用について、お話を伺った。
「従来の個人向けローンは支店に直接行かなければ契約できず、平日の日中に働かれている方はわざわざ休みを取って支店に行く必要があったため、とても不便でした。そこで当行では2018年から順次、PC やスマートフォン、タブレットで『インターネット申し込み』から『正式申し込み』までをオンラインで完結できる仕組みを整え、お客さまの利便性向上に取り組んできました。
お客さまの年齢層はローンの商品ごとに若干異なっているものの、20代から60代まで幅広くご利用いただいています。
また、少し前までは車、教育ローンのご契約の多くは、支店窓口でお手続きをいただいておりましたが 、現在では契約手続きされるお客さまの約97%がスマホやパソコンにてお手続きいただいております」(T. I. 氏)
同行では、個人向けローンのインターネット申し込みサービスの開始当初から、申し込みページの利便性向上に取り組んでいる。EFO ツールや、A/B テストツールの導入などがその一例だ。T. I. 氏は当時を振り返る。
「どんなに『インターネット申し込み』のページや入力フォームを改善しても、依然としてページに訪れたお客さまの2人に1人が離脱されています。『せっかくローンの申し込みページまでアクセスいただいたのだから、全員にお申し込みいただきたい』というのが私たちの願いであり、理想です。そこで『インターネット申し込み』のページにおけるお客さまの離脱を防ぎ、手続き完了率をさらに上げるための施策を常に模索しています」(T. I. 氏)
EFO ツールのアラート機能を活用したり、フォーム横に入れているコメントの文面を変更したりと、さまざまな改善と A/B テストを重ねている中で、ヒントになったのが、支店窓口でのご案内だったという。
「支店窓口でお客さまにローンの申し込みをご案内する場合、『ここに住所を記入してください』『ここは概算の数字で構いません』と、お客さまが記入に悩まれたら記入欄を一つ一つお客さまに内容を説明し、ご案内します。一方で、極端な例えかもしれませんが、インターネットの入力フォームは、窓口で申し込み用紙をそのまま提示されるようなものです。
そこで『インターネット申し込み』のページでも、あたかも支店窓口の行員が一つ一つ ご案内するような、親近感を抱かせる顧客体験を実現できないかと考えました」(T. I. 氏)
支店窓口で記入箇所をご案内するような体験を『インターネット申し込み』のページにも実現したいと考える中で同行が出会ったサービスが Withdesk Automate だった。Withdesk Automate は、実際のウェブサイト上に操作案内(チュートリアル)を自動で表示することで、一つ一つの操作箇所をご案内するソリューションだ。Withdesk Automate の提案を初めて受けたときの第一印象を、T. I. 氏は以下のように振り返る。
「発達したデジタル技術で、お客さまへチュートリアルを表示させる仕組みは面白い施策 だなと感じました。Withdesk Automate によるチュートリアルは、まさに支店窓口でお客さまをご案内するような体験を、オンラインで実現するものだと思います。
また、ウェブサイトにタグ一つを設置するだけで利用できることは、導入時のハードルが低い点もメリットですね。Withdesk Automate は、チュートリアルを展開したいページにタグを設置し、出現させたい表示内容を設定するだけで、最短で翌日からでもチュートリアルを実装できることが魅力でした」(T. I. 氏)
T. I. 氏の予想通り Withdesk Automate の導入はスムーズに進み、正式決定からおよそ1か月後には無事にリリースされた。先行する他社の活用事例を参考にしつつ、個人向けローンならではの文言や条件分岐を設定している。申し込みページ内では、お客さまの「職業」を選択する項目があり、お客さまが選択する内容に応じて、次に表示される項目が変化する箇所がある。具体的には、「年金受給者」を選択すると次に表示される項目が「年金受給開始年月」になり、それ以外の選択肢を選択した場合は、勤務先に関する項目が表示される。このように複雑な内容においても細かい条件分岐の設定が可能なため、申し込みに必要な手続きを最後まで導くことができている。
「Withdesk Automate の初期設定で特にこだわったポイントが、入力内容の確認ページで必ず『申し込み』のボタンを押すようにご案内していることです。お客さまの中には、入力後に表示される確認ページを見ただけで申し込みは完了したと勘違いされてしまう方がいらっしゃいます。ご自身では入力は完了している認識なので、後日『申し込んだのに、なんで連絡がないんだ』とご連絡をいただくこともあります。ですので、確認ページの『申し込み』ボタンを必ずクリックいただくようにチュートリアルで誘導しています。
また、『インターネット申し込み』はスマートフォンからお申し込みされる方が多いため、PC と同じチュートリアルをスマートフォンに表示できる点も高評価でした」(T. I. 氏)
T. I. 氏自身、プログラミング等の専門知識はなかったものの、問題なく Withdesk Automate の設定を進めることができたという。条件分岐の設定や、各種ローンのチュートリアル設定も「一度経験してしまえば、あとは横に展開するだけだった」とのことだ。
同行では Withdesk Automate の導入後の成果について、他ツールによる A/B テストを活用している。チュートリアルを起動させるバナーの表示有無によって、『インターネット申し込み』の完了率がどれだけ変化するのか効果測定したという。今回の取り組みによって得られた成果について、引き続き T. I. 氏にお話を伺った。
「車、教育、カードという3つの個人向けローンの『インターネット申し込み』のページに Withdesk Automate を導入し、A/B テストを実施した結果、チュートリアルを起動するためのバナーを表示した方が、バナーを表示していない時よりも手続き完了率が平均して数%改善しました。季節によっても変動しますが、毎月数千件のお申し込みがあるなかでの改善なので、数%であっても収益への貢献はとても大きいのです。低金利施策が続く現在、個人向けローンは収益の柱のひとつでもあるため、私たちにとって“価値ある改善”だと感じています」(T. I. 氏)
積極的なデジタル技術の活用やデータを利活用することでさらにユーザー体験の向上に取り組んでいく予定だ。
「窓口のような顧客体験をデジタルで再現するのは難しいものが多いですが、技術の進歩で従来は実現できなかったものが可能になったのだと、今回のWithdesk Automate の導入でより実感しています。『FinTech』と言われるように金融業界のデジタル化は加速していますので、今後もデータ活用や新技術の導入に取り組んでいきたいですね」(T. I. 氏)
取材の最後に、チュートリアルソリューションと親和性が高い企業の特徴やアドバイスを伺った。
「一つ一つ丁寧に説明して申し込みを受け付けたいサービスや、申し込み手続きにお客さまが悩まれやすい商品やサービスとは親和性が高いと思いますね。また、金融関連の申し込み もそうですが、毎月何回も申し込みされる商品性でなかったり、普段入力されない項目をお客さまに入力いただくような申し込みフォームの場合、チュートリアルを導入することで手続き完了率を上げられるかもしれません。手続き完了率を少しでも上げたいと考えている企業は Withdesk Automate の導入を検討してみてはいかがでしょうか」(T. I. 氏)
※掲載内容は取材当時のものです。
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