オンラインでも対面のように近い関係性を築く、池田泉州銀行の取り組みとは
住宅ローン仮審査の申し込み完了率が約2ポイント改善!
お客さまの声
「とことん向き合い、ぐつぐつ追い求め、あしたをまっさきに切り拓く ~もっとおもしろく、もっといきいきと~」 を大切に、地域の皆さまに「愛される」グループを目指す株式会社池田泉州ホールディングス。その中核を担う株式会社池田泉州銀行は、大阪に本店を構え、139の店舗網を展開する地方銀行である。
同行ではローンの申し込み手続きのオンライン化を進めてきた。マイカーローンや教育ローンなどの無担保ローンは2020年、住宅ローンは2024年から受付を開始している。しかし、対面であれば職員が説明しながら進められる手続きも、オンライン上では同じようにはいかない。専門用語や入力項目の多さにお客さまがつまずき、仮審査の途中で手続きを諦めてしまうことが少なくなかった。こうした課題を受け、同行は2025年6月に Digital Co-Experience プラットフォーム「Withdesk」のガイドソリューション「Withdesk Automate」を導入している。
今回は、導入した背景にあった課題や導入までのプロセス、導入後の効果について、リテール営業部 次長の K. F. 氏、同部 次長の H. S. 氏、同部 住宅ローンサポート室 次長の Y. K. 氏にお話を伺った。
顔を合わせる機会が少ないお客さまとも、生涯の関係を築く

リテール営業部は、預金やローンから資産運用、相続関連まで、個人のお客さま向けの商品を幅広く受け持つ本部の企画部門である。なかでも住宅ローンは、同行の貸出金のおよそ4割を占める主力商品であり、部内には住宅ローンサポート室が置かれている。
「個人向けの商材を取り揃えていますが、お客さまとのお付き合いは生涯にわたります。お一人おひとりと長く関係を築いていくことが、私たちの一番のゴールです」(K. F. 氏)
そのお付き合いは、必ずしも営業店から始まるとは限らない。これから資産を形成していく20代から40代のお客さまとは顔を合わせる機会が少ないため、同行は来店を前提にしない接点を整えてきた。いまでは無担保ローンの申し込みのほぼすべてがオンライン経由である。
ただ、オンラインで申し込みを受け付けられるようになったことは、出発点にすぎなかった。
「オンラインでのお手続きは、対面で職員が説明するのに比べると分かりにくく、迷いがちです。できるだけスムーズにお手続きいただける体制づくりが、ローンの分野では特に重要になっています。オンラインであっても、対面のようにお客さまと近い関係性を築きたいと考えています」(K. F. 氏)
お問い合わせ内容から見えた、お客さまがつまずくポイント

ローンの申し込み手続きは、仮審査、本審査、契約、実行の順に進む。同行が重視してきたのは、お客さまに迷うことなく最後まで手続きを終えていただくことである。
しかし、仮審査の手続きにおいて、つまずいてしまうお客さまが少なくなかった。同行はその要因を、お客さまからのお問い合わせを通じて把握していた。
「ローンの申し込み手続きは専門用語も多く、手続きの不備が生じないように設けた入力の制約が、かえってお客さまを戸惑わせてしまうこともありました。また、夜間など営業時間外にお手続きされる場合は、その場でお困りごとを解決できる手段がありませんでした。『営業時間に問い合わせをしてから、手続きをしよう』となると、それだけで面倒に感じられて、お手続きをやめてしまっていたのだと思います」(Y. K. 氏)
住宅ローンには、多くのお客さまがつまずく箇所があった。
「難所となっていたのが、資金計画の入力です。必要な資金の合計と、住宅ローンを含めて用意する資金の合計を一致させる必要があるのですが、入力方法に迷われるお客さまが多くいらっしゃいました。入力項目も多岐にわたるため、どこに何を入力すればよいか分からず、先に進めないというお問い合わせをいただいていました」(Y. K. 氏)
課題は、お客さま側だけではない。住宅ローンは書面での受付が根強く残っていた。お預かりした書類の管理や自行システムへの登録に加え、増え続ける問い合わせや入力不備への対応が、担当部署の負荷を押し上げていた。
お客さまの迷いと、行内の負荷。この両方を同時に解消できる手立てとして同行が期待を寄せたのが、申し込みページの中で自動的に手続きを案内する仕組みだった。
対面でのサポートのように。一つひとつ案内できることが選定の軸に

申し込みページのレイアウトそのものを変更する EFO ツールなど、ほかの選択肢と比較するなかで、同行は Withdesk Automate のデモンストレーションを見る機会を得た。
「まず印象に残ったのが、デモンストレーションを見せていただいたときの分かりやすさでした。対面でお客さまに申込書を書いていただくときは、『次はこちらを記載してください』『こちらを記載する際は注意してください』と、一つひとつ指し示してご案内しています。対面でのサポートに近い形でお客さまを誘導していけるのは、とても良いと思いました」(Y. K. 氏)
同行が評価したのは、分かりやすさだけではなかった。
「自分たちでチュートリアルの内容をすぐに変えられるというのも、選んだポイントの一つでした。緊急で対応したいときに重宝しています」(H. S. 氏)
一方、申し込みを受け付ける基幹システム側で改修するとなると、途端にハードルが高くなる。
「申し込みページに手を入れたり分岐を変えたりしようとすると、大がかりな開発が必要になります。そこまでせずとも私たちが対応できる範囲で設定ができるので、使い勝手が良いです」(K. F. 氏)
部内での合意形成は、スムーズだった。関係者にデモンストレーションを見せると、行内での意思決定は早かったという。こうして同行は、Withdesk Automate の導入を決めた。
対面に近い接客を意識し、つまずきやすい箇所に案内を届ける

導入を決めてから最初のチュートリアルを公開するまでは、約2か月。マイカーローンを皮切りに、教育ローン、リフォームローン、住宅ローンへと対象を広げていった。ウィズデスク社のサポートを受けながら作業を進めたことで、短期間でスムーズに導入できたと同行は振り返る。
チュートリアルを設定する上で一貫して意識してきたのは、お客さまに迷わず手続きを完了していただくことだ。
「特に住宅ローンは入力項目も多く、選択される内容によって案内が変わってきます。分岐が多いので、チュートリアルの条件を細かく設定しました」(H. S. 氏)
お客さまがつまずきやすい箇所では、案内の出し方そのものにも工夫を凝らしている。
「説明を記載するだけでは、エラーになったときにお客さま側で何が原因なのか分かりません。該当の項目にすぐ戻って確認していただける案内の出し方をウィズデスク社に教えていただき、とても助かりました」(Y. K. 氏)
案内は、増やすほど伝わるとは限らない。同行がたどり着いたのは、量ではなく、情報を届けるタイミングだった。
「お問い合わせが多いと、それに対応して申し込みページ上に多くの注意書きを記載したくなります。ただ、文字が多くなると、かえって読んでいただけません。また、手続きとは別にマニュアルを用意しても、一度目を通しただけで覚えられるものではありません。入力していただいているその場でご案内できるのが一番で、それが対面に近い接客だと思います」(Y. K. 氏)
効果検証し、チュートリアルの改善箇所を見極める

同行は、既存の別サービスを活用して A/B テストを実施し、Withdesk Automate の導入効果を確かめてきた。明確な差が出たのは、住宅ローンだった。
「住宅ローンでは、チュートリアルを表示している方と表示していない方を半々に分けて検証をしました。スマートフォンからのお申し込みでは、申し込み完了率に2ポイントの差が出ました。その結果を受けて、いまではすべてのお客さまにチュートリアルを表示する形で運用しています」(Y. K. 氏)
数字に表れる変化だけではない。申し込みの受付を担う現場からは、入力不備に関する問い合わせが減ったように感じるという声も上がっている。
一方で、導入効果はローンの種類やお客さまの状況によって異なる。同行は結果を見ながら、案内を出す箇所を調整している。例えば、申し込み情報の入力を途中で保存し、後から再開されるお客さまに再度チュートリアルを表示していたが、完了率の改善が見られなかったため取りやめている。試して、確かめて、残すものと外すものを見極める。チュートリアルは、そうして育てられてきた。
夜間でも休日でも応えられる存在へ。Withdesk と描くこれからの顧客体験

現在、チュートリアルは4つのローン商品で稼働している。次に同行が見据えているのは、お客さま一人ひとりに合わせた案内だ。
「いまは一律の案内しか出せていませんが、お客さまの置かれているシチュエーションに応じて案内を変えられれば、顧客体験はさらに良くなると思います」(Y. K. 氏)
もっとも、ウェブで受け付けたお申し込みを一件ずつフォローしていくには、行内のリソースにも限りがある。同行が思い描くのは、人手をかけずともお客さまの困りごとが解決していく状態だ。
「お客さまが分からない手続きがあれば、即座に答えが返ってくる。人に代わって、お客さまのお困りごとや迷いを自動的に解決する仕組みがあればと考えています。人手を介さず、夜間でも休日でも、お客さまが知りたいことをすぐに調べられる状態が理想です」(K. F. 氏)
最後に、Withdesk の導入を検討する企業へのメッセージを聞いた。
「チュートリアルの作成に不安を持たれる方もいらっしゃるかもしれませんが、ウィズデスク社のサポートが非常に手厚いので、安心して導入できるサービスだと思っています」(H. S. 氏)
対面であれば当たり前に伝えられていた『次はこちらを記載してください』という案内を、画面の向こうのお客さまにも届ける。Withdesk Automate は、申し込み完了率を押し上げるだけにとどまらず、顔を合わせる機会が少ないお客さまとの関係を築く手立てとして、池田泉州銀行の現場に根付きつつある。
※掲載内容は取材当時のものです。